網膜硝子体手術
網膜裂孔や糖尿病網膜症(眼底出血)などの治療で行われる、網膜硝子体手術についての説明
病気があればすぐ手術、というわけではありません。
患者様の症状・進行具合・今後の見通しや社会生活・職業・要望などを総合的に考え、患者様と相談しながら治療方針を考えていきます。
当院では、患者様一人一人に合わせた説明やアドバイスを行っております。是非、気軽にご相談下さい。
網膜硝子体手術とは
眼球の中には硝子体という透明のゼリー状の組織があります。
硝子体が何らかの原因によって網膜を牽引したり炎症を持続させたり、混濁や出血を含むことによって網膜に光が到達する妨げとなります。
網膜硝子体手術ではこの硝子体を切除するために角膜の横に小さな穴を3ヶ所開け、そこから細い器具を眼内に挿入し、眼の中の出血や濁りを硝子体と共に取り除きます。その後、網膜の病変に対する治療を行ったのち、手術終了時に眼内を水・空気・ガス・シリコーンオイルのいずれかに置き換えます。
※症状によっては、白内障手術を同時に行う必要があります。すでに白内障が進行していたり、白内障が軽度の方でも、硝子体手術後に白内障が進行し、再度視力低下が生じうるためです。
網膜硝子体手術が有効な病気は、糖尿病網膜症(眼底出血)、網膜剥離、黄斑上膜、網膜静脈閉塞症(黄斑浮腫)、硝子体混濁(ぶどう膜炎)など、非常に多岐にわたります。
27Gシステムによる日帰り硝子体手術
負担の少ない新しいシステムです
当では先進の硝子体手術システムである、27G(ゲージ)システムによる日帰り硝子体手術を行っています。
(※入院施設はございません。)
G(ゲージ)とは器具を挿入する傷の大きさのことですが、現在主流の25Gシステムよりもさらに小さい27Gシステムでは、約0.4mmの目に見えない程のわずかな傷から手術が出来るため、非常に侵襲が少なく術後の回復も格段に早くなります。
ご来院からご帰宅までのお時間の目安は4~5時間程度です。
手術の進行状況・手術内容によっては、目安のお時間より長くなる場合がございます。
当院は25G(ゲージ)システムを用いた日帰り硝子体手術を、日本で初めて学会で発表した医療機関です。
第45回日本網膜硝子体学会、東京、2006.12.2 →院長による主な講演・学会発表
「臨床眼科 Vol.63 No.7 1125-1129 2009」
網膜硝子体手術の方法
術式・麻酔方法・手術時間
術式
25Gシステム硝子体手術
もしくは
27Gシステム硝子体手術
※27Gの傷は1ヶ所0.4㎜程度のわずかなものです
麻酔
手術は局所麻酔で行っていきます。
手術前に点眼麻酔を行った後、球後麻酔(局所麻酔)を行います。
※下まぶたの皮膚の上から眼球の下に直接麻酔の注射をします。
時間
症状によって異なりますが、約1時間~2時間程度かかります。
手術中・手術後の注意点
手術中
麻酔は局所麻酔で行うため、会話は可能です。
何か困ったことがございましたら身体は動かさず声に出して知らせて下さい。
手術後
- 手術後、黒い輪の様なものが見えることがあります。
1~2週間で自然に消失します。
- 水の中を覗いているように揺れ動く感じに見えたり、細かい点が見えたりします。
眼内に空気やガスが入っているためです。これらは次第に少なくなり、最後には泡になって消えます。
- 手術後充血やゴロゴロした感じが残ることがあります。
時間とともに改善していきます
- 手術後の視力は、術後安定するまで6~12ヶ月かかります。(症状によります。)
病気が治っても、物が小さく見えたり、歪んで見えたり、少し暗く見える場合がございます。
- 症状によって、うつ伏せ・座位・ベッド拳上・横向きなどが必要になります。
術後の体位も治療のひとつです。術後の体位は症状より異なるため、術後は医師の指示に従って下さい。
食事 | 手術後は消化の良いものをお召し上がり下さい。 |
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嗜好品 | 飲酒・喫煙は手術後1週間お控え下さい。 |
入浴 | 手術後1週間はお化粧・洗顔・洗髪・シャワー・入浴は禁止です。 固く絞ったタオルでお顔やお体を拭くことは可能ですが、目の周りは強くこすらない様十分注意して下さい。 |
その他 | 手術後1週間は保護用眼鏡を装用していただきます。 |
手術の予約について
まずは診察を受けていただき、医師とご相談下さい。
網膜硝子体手術、及び手術前検査・手術前最終診察日は予約制となっております。
電話での予約は承っておりませんので、一度診察を受けていただき手術日程を決めていきます。
網膜硝子体手術前後の流れ
網膜硝子体手術の適応疾患は多岐にわたります。
手術までの流れやその後の注意事項などについては、疾患や症状などにより異なる部分があります。
また、実際の手術の際には医師及びスタッフから手術そのもののことについてや、手術の流れ、注意事項などを患者様に直接詳細に説明いたします。
診察や検査内容により手術をすることが決まったら
- 1.手術に関する日程を決めます。
・患者様と相談しながら、手術日、その他検査・診察日の日程を決めていきます。
・手術決定後は医師および看護師より、手術方法の他、手術前後の予定・注意事項等の説明及び問診があります。 - 2.手術前検査(予約制)を行います。
・手術に必要な眼の検査と採血・心電図検査、及び診察を行います。
- 3.手術前最終検査
・手術のオリエンテーションを行います。
(手術当日の来院時間・手術前点眼・手術前後の注意事項などについて) - 4.手術当日
・手術の順番に沿って、事前に指定された時間にご来院していただきます。
・手術をした眼に眼帯を当てたまま翌日まで過ごしていただきます。
・手術後はお会計が済み次第、すぐにご帰宅いただけます。 - 5.手術翌日診察
・スタッフが眼帯を外します。その後検査・診察を行います。
・手術後の点眼方法について説明を行います。
- 術後1週間は短い間隔で診察があります。その後も定期的に診察が必要となります。
- 予約制の診察であっても、当日の診療状況によってお待たせする時間が長くなる場合がございます。予めご了承下さい。
- 手術前後の診察時には、基本的に瞳を広げて(散瞳)診察を行います。
散瞳や、眼帯をしている状態では視野が狭くなり、遠近感が取りづらくなります。
また、手術後もしばらく見え方が安定しない場合があります。
以下の場合は硝子体手術の可否に関わりますので手術前に早めに医師へご相談下さい。
- 飛行機での旅行・高地(標高1000m以上)への旅行を手術後1~2ヶ月の間に予定している場合。
手術により硝子体を空気またはガスに置き換えた場合、気圧の変化により期待が膨張して眼圧が上昇するため、飛行機での旅行や高地(標高1000m以上)への旅行は一定期間禁止となります。
例)
空気のみの場合:約1~2週間
ガスの場合:約1~2か月
※シリコーンオイルに入れ替えた場合は、飛行機や高地への旅行は問題ありません。 - 全身麻酔・歯科での吸入麻酔を術後1~2ヶ月に予定している場合。
手術の際に使うガスが眼内に残存している場合、吸入全身麻酔で笑気(亜酸化窒素)を使用すると眼圧が急激に上昇することがございます。
手術に際しましては、適切な結果を得られるよう全力を尽くします。
しかし、術後の経過においては症状により多様であり、必ずしもご期待通りの結果が得られない場合が有ることもご理解いただきますようお願い申し上げます。